CBMに関する提言(WDC系ダンス諸団体及び先生方へ) 投稿者:ダンキチ 投稿日:2018/09/15(土) 17:48
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1-(先生方のCBMに対する姿勢)
僕は長年、WDC系の諸団体の技術担当の方、先生方に今一度CBMという言葉の意味と動作を再検討頂く必要があるのではないかとの思いを持ち続けています。 少し長くなるかもしれませんが僕の思いを書かせて頂きます。
教科書では8項目の重要項目の一つとして回転を始める為の動作、「CBM」について、説明と共に各ステップ毎にその動作の必要性の有無が明記されています。 このことは、教科書はCBMと言う動作が他の項目と同様ダンスに於いてとても重要な動作であること考えている事は間違いないと思います。 しかし今までサークルで教えて頂いた先生方のご指導やトッププロの先生方のレッスンビデオでもCBMという言葉をほとんど聞くことが無く又その言葉の明確な説明、具体的な動作を説明して頂いた記憶がありません。
今の先生方はCBMという動作は現代のダンスではあまり重要ではないと考え、そして又今一つはっきりしない言葉だなとの思いをもっておられるのではないでしょうか。 従いCBMという言葉にはあまり気を使わず、生徒さんへの指導の必要性をもほとんど感じておられないように思います。
・・・続く・・・
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| Re: CBMに関する提言(WDC系ダンス諸団体及び先生方へ) ダンキチ : 2018/09/16(日) 09:54 No.1119 | |
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2−(今の先生方がCBMを重要視しない理由)
それでは何故今の先生方はCBMをあまり重要視されないのでしょうか。 その理由として次のような事が考えられると思います。
(理由―1) 最近tamaさんと言われる方がボルテク(教科書)の元祖アレックス・ムーアが1939年に書いた「Ballroom Dancing」の翻訳をされています。 この中でアレックスムーアは回転を始める為の動作CBMを次のように説明しています。
「CBMはムービング・レッグの動く方向に反対側のヒップと肩を向けるアクションであり、すべてのターンアクションを開始するために用いられます。」(tamaさん訳)
この説明、及びその前後の説明からアレックスムーアはCBMとは反対側のヒップと肩を同時にステップする足の動く方向に向ける、即ちボデイを一枚板の平面に保った様な状態で回転をすることを想定していた事は間違いないと思います。
アレックスムーアはBallroom Dancingに続き今の教科書(ボルテク)の前身であるThe Revised Technique of Ballroom dancing(リバテク)を考え編集されており、彼の当初のCBMの基本的な考え方が現在の教科書ボルテクにも引き継がれ、強い影響を与えているのは間違いないと思います。
今も一部の指導者からダンスは畳、もしくは船の帆の様にボデイを一枚板の様にして踊るべきだ、又ダンスはナンバ歩行で踊れなどとの声が聞かれるのも昔のアレックスムーアの考え方の影響だと思います。
一方その間、ダンスの踊り方も時代と共に変わり、回転を始める際にヒップと肩を同時に回転させる踊り方ではない踊り方(ヒップと肩を同時には回転させず、上半身と下半身の絞りを生じさせる踊り方)がポピュラーになってきたために教科書(ボルテク)はCBMの説明をある時点で修正したのだと思います。
しかしこの修正及び表現が紛らわしく曖昧であったがために教科書(ボルテク)の解釈に混乱が生じているのだと思います。 先生方は現実の自分の踊り及び感触と教科書の説明及び先達の教えとの整合性に今一つ納得がいかず戸惑いを感じておられCBMと言う言葉の理解に確たる自信を持つことができないでいるのではないでしょうか。
・・・続く・・・
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| Re: CBMに関する提言(WDC系ダンス諸団体及び先生方へ) ダンキチ : 2018/09/17(月) 09:15 No.1120 | |
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(理由―2) 日本のダンス界はWDC系の某団体が核となり発展してきたと言えるのではないかと思っています。 そしてこの日本のダンス界の核であった某団体は平成9年初版の教師用教本「インストラクター専門科目テキストブックVOLIII/基礎理論・実技」という本を発行、この教本は今も先生方の参考書として使われているそうです。
この教本はCBMを次のように説明しています。
「この動作(CBM)は日常歩く時、腕を振ることによって表れ、ポケットに手を入れて歩くと自然に上記の様な上体回転をして歩く動作をコントロールします。 従ってCBMとは前進、後退のムーブメントをコントロールするための動作と言えます。歩く時無意識に行う動作ですから、初級から中級ぐらいまでは意識して行う必要はなく、ただフィギャー全体の回転量を感じて踊れば良いのです。むしろ中級程度の人がCBMを意識しすぎて不自然にならないように注意してください。」
この教本は平成9年に発行されている事からして、それ以前からこの教師用教本に書かれているCBMの説明は某団体としての考え方であり、現在も変わっていないのだと思います。 そして今の多くの先生方はこの某団体の考え方の元教育され、又影響を強く受けてきたのだと思います。
僕はこの某団体の考え方は不適切であり、個人的には間違っているのではないかと考えています。 いずれにしても、CBMという言葉・動作は中級までは教えるとかえって有害になる可能性があるとの教えですから・・・先生方もアレー??と思っておられる方が結構おられると思いますが、教本を無視するわけにもいかず、無関心もしくは触らぬ神にたたりなしとの思い、態度を取っておられるのも一つの理由ではないかと思っています。
・・・続く・・・
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| Re: CBMに関する提言(WDC系ダンス諸団体及び先生方へ) ダンキチ : 2018/09/18(火) 09:57 No.1121 | |
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3−(CBMの踊り方、動作の変遷)
上で回転を始める為の動作、CBMの踊り方、動作は時代とともに変わってきたことは間違いないと書きました。 それではどのように変化してきたのでしょうか。
(1)ボールルームダンスの初期の時期はアレックスムーアがBallroom Dancingに書いた通りCBMとは、ヒップと肩を同時に踏み出した足と同じ方向に回転させ踊られていたことは間違いないと思います。 しかし戦後の何時頃からかから、CBMはヒップの向きは変えず,肩(上半身のみ)を踏み出した足の方向に回転させる踊り方に変わってきていたのだと思います。 多分この変化は当初のこじんまりと上品且こぎれいに踊られていたダンスの競技指向が強まり、より大きく、ダイナミックな踊り方に変わってきたからだと思います。 しかしダンス界はこの回転を始めるための動作(CBM)の変化を明確には認識せず、十分な対応を怠ってきたように思われます。 あるいはいずれの踊り方でもダンスは踊れるためにどのように対処すべきかの迷いがあったのかもしれません。
(2)いずれにしても現実にはダンスで回転を始める為の動作、CBMは完全にヒップと肩を同時に回転させる方法から肩(上半身だけ)を回転させる踊り方に変わってきているのは間違いないと思います。 そしてこのことに気づいたのがWDSFなのだと思います。 WDSFは最近発行した教科書で現代のCBMを次のように明快に理解・説明しています。
(A)CBMとは回転を始める際に下半身(hip/feet)に対して上半身(shoulder)を軽く回転させることである。 (B)上記の上半身を軽く回転させる動作とは言い換えれば上半身と下半身の絞り(Torsion)を作る動作でもある。 (C)ダンスの回転動作ではヒップライン(両側のヒップを結んだライン)とショルダーライン(両肩を結んだライン)は平行にはなっておらず、角度を持ち交差した状態になっている。 回転動作の一種であるCBMの動作でもヒップラインとショルダーラインは平行にはなっていない。
WDSFが説明しているCBMの対象となるダンスの踊り方はWDC系のダンサーが踊っている踊り方と全く同じだと思います。 WDC系はCBMの解釈でWDSF系に完全に一本取られた形になっているのだと思います。
・・・続く・・・
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| Re: CBMに関する提言(WDC系ダンス諸団体及び先生方へ) ダンキチ : 2018/09/19(水) 10:25 No.1122 | |
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4−(結論)
以上書いてきました通り、ダンスにおける回転を始める為の動作(CBM)は時代と共に変わってきているのだと思います。 そして今のダンス界(WDC系)ではその変化を教科書に十分反映しきれず又その変化が傘下の先生方の考え方にも反映しきれていないのではないかと思います。
教科書(ボルテク)に書かれているワルツ、スロー、クイック、タンゴ全てのフィギャーの前進後退歩は凡そ300歩ありその内の約200歩が回転を始める為の動作CBMのステップなのです。 そしてこの約200歩のCBMのステップでは4種類のCBMの基本動作(右足の前進後退歩・左足の前進後退歩)のいずれかの動作をしなさいと教科書ははっきり言っているのです。 教科書がダンスの中核を占めるとも思える回転動作についてこのように書いているCBMがどうでも良い筈がないと思います。
関係諸団体およびその傘下でダンスを指導されている諸先生方には、CBMと言う言葉と動作の意味を今一度再検討、ご確認頂きたいと思っています。 そして再確認いただいたCBMの考え方と動作をより分かり易く、効率良くご指導をお願いしたいと思っています。
尚今回のCBMに関する書き込みは独断と偏見の可能性をも顧みず書かせて頂いています。 悪しからずご了承下さい。
・・・終わり・・・
追記) CBMの問題を考える際には下記の点に注意しておく必要がある様に思います。 現在踊られているダンスのCBMは上半身と下半身の絞りを生じさせる動作だと考えられますがアレックスムーアが当初考えていたCBMの動作、即ちヒップと肩を同時に踏み出した足の方向に回転させる動作の場合でもボデイの絞りを生じさせているという事です。 ただしこの場合の絞りは上半身と下半身の絞りではなくヒップより下の脚部で生じさせている絞りだと思います。 いずれにしてもダンスで回転を始める為には男女の位置の入れ替えの為にもボデイのどこかの部分での絞りがどうしても必要になってくるのだと思います。
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